56 巻 (1994) 1 号 p. 67-74
85歳の女性の左外眼角部に発生した8×8×4cmの巨大なMerkel cell carcinomaの症例を報告した。光顕上, 腫瘍細胞は典型的なtrabecular patternはみられなかったが, GrimeliusおよびFontana-Masson染色で陽性顆粒が認められ, 電顕にて多数の直径80∼110nmのmembrane coated dense core granulesが細胞質内に確認された。また経過中に口腔底の扁平上皮癌が出現し, 本腫瘍が重複癌を生じやすいことが再確認された。本例では入院時, すでに下顎リンパ節への転移が確認されたが, 腫瘍と転移リンパ節への少量の放射線照射(Linac 12MeV, 総量40Gy)で一旦腫瘍の消失をみた。その後反対側の右頬部皮膚にも転移を認めたが, 再びLinac総量40Gyで腫瘍は消失した。患者は初診時より4年後に老衰による心不全にて死亡した。放射線照射の効果については, これまで明らかにされてはいないが, 自験例のごとく放射線照射単独療法で高い有効性が期待されるため, 単独あるいは手術との併用を試みるべき治療法であると考えた。