西日本皮膚科
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症例
悪性萎縮性丘疹症(Degos症候群)
篠田 勧矢野 貴彦大越 裕章林 雄三益田 正美
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1994 年 56 巻 2 号 p. 229-234

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抄録

73歳の女性。平成2年4月頃に, とくに誘因なく顔面を除くほぼ全身に, 小豆大の紅色あるいは正常皮膚色の丘疹が出現した。これらの皮疹の中央部に白色の萎縮性局面を伴うものや, 痂皮を伴っているものもみられた。個疹は数週間から2ヵ月間程度で瘢痕を残さず消退した。皮疹はそう痒, 疼痛などはないが, 種々の外用, 内服療法にても治癒しなかった。腹部症状, 中枢神経症状はみられなかった。白色萎縮性局面を伴った皮疹部の生検にて, 表皮を底辺として真皮層にかけてのくさび型の凝固壊死像がみられ, くさびの先端に一致する部分の壁の部に, 変性像および内腔閉塞像を伴う小血管がみられたことから, 悪性萎縮性丘疹症と診断した。消化器系の精査を行うも著変なく, 凝固系にも異常はみられなかった。現在プロスタグランジンI2内服にて経過観察中である。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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