西日本皮膚科
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症例
副腎皮質ステロイドの全身投与が著効したKasabach-Merritt症候群
 
工藤 芳子藤原 作平高安 進福島 直喜谷村 理恵石和 俊芦沢 昭
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1994 年 56 巻 3 号 p. 475-479

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抄録

8ヵ月の女児(体重8.9kg)。生後1ヵ月ごろより右頬部に海綿状血管腫があった。同部が急速に腫脹し, また血小板数10000/mm3を指摘され, 緊急入院となった。入院時, 右頬部全体が腫脹し境界明瞭な暗赤褐色斑に加え, 点状出血と皮下硬結を認めた。MRではT1強調で皮下に帯状に低信号域を, T2強調で高信号域をみた。以上よりKasabach-Merritt症候群の中期∼極期と診断した。入院翌日には血小板数が7000/mm3まで低下したため, ベタメサゾン3mg/day(0.34mg/kg/day)内服を開始したところ, その直後より腫脹は著明に改善し, 6日後(ベタメサゾン総投与量15mg)には血小板数は正常化した。その後血小板数と皮疹を指標として, ベタメサゾンを漸次減量し, 約7ヵ月後(ベタメサゾン総投与量91.2mg)に中止したが, 以後再発はみられていない。軽度の高血圧以外には副作用は認められなかった。Kasabach-Merritt症候群における副腎皮質ステロイド全身投与の有用性について報告した。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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