西日本皮膚科
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症例
リンパ管型スポロトリコーシス
—右半身不全麻痺を有する糖尿病患者の麻痺側上肢に結節が多発した1例—
弥富 祐子安田 佳世小玉 肇
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1994 年 56 巻 4 号 p. 724-728

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抄録

右半身不全麻痺と糖尿病を有する60歳無職の男性。右手背に自覚症状のない結節が生じ, 自潰排膿しさらに20個の類似の結節が右上肢に列序性に多発した。外傷の既往はない。生検にて真皮深層の肉芽腫性炎症像を認め, 病変部からSporothrix schenkiiが培養され, リンパ管型のスポロトリコーシスと診断した。空腹時血糖は156mg/dlで, 好中球機能と末梢血CD4/8比の軽度低下を認めた。サーモグラフィーにて患側上肢の皮膚温の低下が見られた。糖尿病の合併, 好中球機能と細胞性免疫の低下, 及び不全麻痺に基づく皮膚温の低下が皮疹の多発に関連すると考えた。ヨードカリ1.5g/日の内服と局所温熱療法を併用し皮疹は治癒した。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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