西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
テルビナフィンが奏効したリンパ管型スポロトリコーシス
浅井 寿子浅谷 雅文田沼 弘之阿部 美知子
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 56 巻 4 号 p. 780-783

詳細
抄録

57歳の男性。大工。相模原市在住。平成4年5月頃に左前腕に潰瘍が出現し, 次第に拡大したため当科を受診。左前腕屈側に39×18mm大の楕円形の浅い潰瘍が存在し, その周囲と手背に米粒大から大豆大の結節をみとめた。病理組織学的には, 表皮は一部潰瘍化し, 真皮全層に著明な細胞浸潤がみられた。中心に膿瘍を形成し, その周囲に肉芽腫性反応をみとめた。膿瘍あるいは肉芽腫性反応部浸潤細胞間および巨細胞内にPAS陽性の胞子がみられた。治療はテルビナフィン125mg/日経口投与にて速やかに皮疹は改善し, 14週後には軽度発赤を残すのみとなり, 培養でも菌が検出されなかったので治癒と判定した。本邦においてスポロトリコーシスにテルビナフィンを使用した報告はなく, 自験例が第1例目である。本剤はスポロトリコーシスに対してきわめて有用な治療法のひとつと考えた。

著者関連情報
© 1994 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top