西日本皮膚科
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治療
角質増殖型手·足白癬, 生毛部白癬に対するTerbinafineとGriseofulvinとの二重盲検比較試験
テルビナフィン研究会
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1994 年 56 巻 4 号 p. 844-861

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抄録

新規経口抗真菌剤テルビナフィン125mg錠(以下TBF)の1日1回投与によるA群: 角質増殖型手·足白癬およびB群: 生毛部白癬に対する有効性と安全性を検討するため, 全国35施設にてグリセオフルビン(以下GRF)を対照薬とした二重盲検試験を実施した。総症例数は, A群が109例(TBF群: 55例, GRF群: 54例), B群が107例(TBF群: 54例, GRF群: 53例)であり, 本試験は実践的な試験との立場からintent-to-treatに基づき, 全例を対象として解析を行った。最終真菌学的効果判定の菌陰性化率は, A群ではTBF群: 80.0%, GRF群: 70.4%, B群ではTBF群: 66.7%, GRF群: 64.2%であった。皮膚症状判定の改善率は, A群ではTBF群: 74.5%, GRF群: 68.5%, B群ではTBF群: 77.8%, GRF群: 79.2%であった。総合効果判定の有効率は, A群ではTBF群: 78.2%, GRF群: 70.4%, B群ではTBF群: 72.2%, GRF群: 73.6%であった。安全性判定の「安全である」は, TBF群: 85.3%, GRF群: 76.6%であった。有用性判定の有用率は, A群ではTBF群: 70.9%, GRF群: 64.8%, B群ではTBF群: 70.4%, GRF群: 67.9%であった。以上, 有用以上での同等性について検討した結果A群において両薬剤が同等であることが検証された。従って, 角質増殖型手·足白癬に対してTBFはGRFと同等の有用性を持つ優れた薬剤と考えられた。またB群においては統計学的には同等性は証明されなかったものの, 有用率ではTBF群がやや勝っており, 生毛部白癬(広範囲)に対して臨床的にはほぼ同様の有用性を有するものと考えられた。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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