西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
熱傷瘢痕癌の治療経験
岩崎 泰政森 保宮本 義洋波多野 裕二森田 栄伸佐藤 茂樹山本 昇壯
著者情報
ジャーナル 認証あり

1995 年 57 巻 3 号 p. 483-489

詳細
抄録

最近12年間に広島大学医学部附属病院皮膚科で経験し治療した熱傷瘢痕癌10例について, 統計学的検討を行ったので, 予後や治療方法も含めて報告する。全例が有棘細胞癌であり, 全有棘細胞癌92例の10.9%を占めた。男女比は7:3であり, 発生部位では下肢が最も多く70%を占めた。組織学的分化度では高分化型が80%を占め, TNM分類では原発巣がT3以上に進行した症例がほとんどであった。前駆症状として, 受傷後平均33.4年で10例全例に難治性潰瘍が出現し, さらに9例は潰瘍出現後平均7.8年で腫瘤が出現した。受傷から瘢痕癌と診断されるまでの期間は平均41.1年と非常に長く, また受傷年齢が高いほど癌化までの期間が短かった(p<0.01)。予後については, 累積5年生存率が61.0%であり, 熱傷瘢痕癌以外の有棘細胞癌に比べて予後不良であった(p<0.05)。手術治療としては, 膝窩部に発生した症例は十分な腫瘍切除と植皮術を行い, 鼠径部のリンパ節郭清を行った。踵部に発生した症例は遊離肩甲骨部皮弁を用いて再建し, 頭部に発生した症例では, 頭蓋骨および硬膜を切除後, 遊離腹直筋皮弁を用いて再建した。熱傷瘢痕部に生じた難治性潰瘍は早期に予防的な切除を行うことが必要であるが, 腫瘍の十分な切除とリンパ節郭清を行うことにより良好な経過をとる症例も多く経験した。

著者関連情報
© 1995 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top