西日本皮膚科
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治療
油溶性甘草エキス配合クリームの肝斑に対する臨床評価
原本 泉溝口 昌子
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1995 年 57 巻 3 号 p. 601-608

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抄録

植物甘草より抽出した油溶性甘草エキスlicorice extracts(LEと略す)中に, tyrosinase活性を阻害しメラニン生成に対し抑制作用を有する成分が含まれていることが報告されている。LE中には多種のフラボノイドが含まれるが, このうちLE中に約10%含まれるglabridinにtyrosinase抑制活性が強いことを著者らはすでに報告した。今回, glabridinを50%含むLEを含有するクリームを用い, 多施設二重盲検比較試験により肝斑患者の臨床効果を検討した。対象は30例で, 0.2%LE配合クリーム(治験クリーム)とクリーム基剤(対照クリーム)をハーフサイド法により両側対称性の肝斑に塗布させ12週以上観察した。主治医の肉眼判定における有効性は, 治験クリームが統計学的に有意(p<0.05)に優れていた。また色差計を用い治療開始前と終了後に病変部皮膚のL*値(明るさ)を測定した結果, 対応あるt検定で治験クリームのみL*値の有意(p<0.05)な上昇を認めた。肝斑を対象に, 色差計を用いた二重盲検試験で有意差をみた外用剤の報告はレチノイド(tretinoin)のみで既存の美白剤には見当らない。副作用の発症頻度は両クリーム間に有意の差はみられなかったが, 治験クリーム側1例にglabridinによるアレルギー性接触皮膚炎を生じた。以上, 実験系のみならず臨床試験においてもメラニン生成抑制作用を有することが確認されたLEは肝斑の治療に有用であると考えた。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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