西日本皮膚科
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症例
Nocardia brasiliensisによる転移性皮下膿瘍
馬場 由佳理井上 靖田嶋 公子福代 良一池田 重雄石川 恵子
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1995 年 57 巻 5 号 p. 1003-1008

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抄録

71歳の男性。3年前より再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis)のためステロイド内服中であった。半年前に右大腿に皮下膿瘍出現, 同時期に呼吸困難と喀痰増加が出現。筋肉内にあった膿瘍を摘出した。組織学的に膿瘍壁の病変内にグラム陽性の繊細な糸状物が認められた。膿瘍の組織片と膿汁から培養陽性。胸部のX-PとCTで右肺に浸潤影あり数回の喀痰培養陽性。これらの培養は全てNocardia brasiliensisと同定された。ST合剤とセフェム系抗生剤の併用で呼吸器症状は軽快したが, 薬剤性肝障害のため2ヵ月で投与中止。1ヵ月前, 右大腿の手術瘢痕部に膿瘍再発, 膿汁内にグラム陽性糸状物が認められ, 膿汁からもN. brasiliensisが検出された。DICと肝不全で死亡。剖検で肺に膿瘍数個, そこにグラム陽性糸状物が見出された。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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