西日本皮膚科
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研究
多型DNAマーカーを用いた先天性掌蹠角化症における異常ケラチン遺伝子型同定の試み
野村 和夫梅木 薫佐々木 千秋原田 研高木 晴美玉井 克人沢村 大輔三橋 善比古橋本 功
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1995 年 57 巻 5 号 p. 1034-1037

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抄録

タイプIおよびタイプIIケラチン遺伝子群は, それぞれ第17あるいは第12染色体上でクラスターを形成して存在している。このことを利用して先天性掌蹠角化症の3家系について異常ケラチン遺伝子のケラチンタイプ同定を試みた。タイプI, IIケラチン遺伝子の近傍DNAマーカーとして, それぞれI型コラーゲンα1鎖(COL 1 A 1), II型コラーゲンα1鎖(COL 2 A 1)遺伝子領域をPCRで増幅しCOL 1 A 1についてはMsp I切断パターン, COL 2 A 1については増幅サイズにて多型を判定した。その結果, 優性遺伝を示した1家系と優性か劣性か現時点では判断できない1家系について優性遺伝とみなした場合にタイプIIケラチンとの連鎖は除外され, 原因遺伝子はタイプIケラチンであることが推察された。本多型は本邦家系でも応用可能であり遺伝性ケラチン異常症の遺伝子変異検索のためのスクリーニングとして有用と考えられた。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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