西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎に対するザジテン®の臨床効果
—治療前後の血清ECP値およびMBP値の変動の有無に関する検討—
中山 樹一郎久保田 由美子古賀 哲也堀 嘉昭武石 正昭日高 桂子安田 勝陣内 恭子矢幡 敬原 幸子佐藤 恵実子徳永 三千子松村 浩邦旭 正一占部 篤道平野 哲哉野間 建安元 慎一郎吉利 優子後藤 由美子幸田 弘西村 正幸八島 豊
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1995 年 57 巻 6 号 p. 1189-1197

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抄録

アトピー性皮膚炎患者に対するケトチフェン(ザジテン®, サンド薬品)の臨床効果および末梢血中の好酸球およびその脱顆粒蛋白のECP(eosinophil cationic protein), MBP(major basic protein)の変動の有無について九州大学医学部附属病院皮膚科とその関連病院皮膚科で検討した。解析対象症例は79例うち中等症以上が約85%を占めた。全般改善度は治療後6週目まで経時的な改善率の増加がみられ, 8週後では中等度改善以上が74.2%であった。また最終全般改善度は中等度改善以上で62%, 軽度改善以上で94.9%であった。副作用は安全度のみを評価した10例を加えた89例のうち眠気が5例, めまい, 吐き気が1例, 顔面浮腫が1例, 月経不順が1例であった。有用度は有用以上が65.8%, やや有用以上が94.9%であった。解析対象症例35例の末梢好酸球数は治療前後で有意の変動を認めなかった。解析対象中49例の血清ECP値の推移も治療前後で有意の変動はなく, 平均値は治療前が30.52±7.26μg/l, 治療後が31.62±5.98μg/lであった。一方解析対象例中33例のMBP値の推移は治療後に有意に低下がみられ, 33例の平均値は治療前が733.06±56.23μg/l, 治療後は653.15±64.25μg/lであった。とくに他のアトピー疾患を合併する患者7例で治療前が981.57±173.51μg/l, 治療後が681.57±119.57μg/lと有意な低下がみられた。このケトチフェンによるアトピー性皮膚炎患者の血清ECP値およびMBP値に対する異なる効果については今後の研究課題と考えられた。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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