西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
初期にIgGの沈着を伴ったLinear IgA Disease
稲沖 真筒井 清広竹原 和彦
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 58 巻 1 号 p. 26-28

詳細
抄録

48歳の女性。5日前から体幹·下肢にそう痒を伴う緊満性水疱が多発してきた。その生検標本では表皮下水疱と主として好中球からなる細胞浸潤が認められた。免疫蛍光法(IF)直接法では表皮真皮境界部(BMZ)にIgAとIgGの線状沈着が認められた。IF間接法ではIgAクラス抗BMZ抗体が認められその抗体価は40倍であったが, IgGクラス抗体は認められなかった。プレドニゾロン初期量30mg内服で水疱は消退した。初診の8ヵ月後体幹四肢にそう痒を伴う丘疹が生じた。その生検標本では表皮肥厚, 表皮下の裂隙と微小膿瘍がみられた。IF直接法ではBMZにIgAの線状沈着がみられたが, IgGの沈着は認められなかった。IgAクラス抗BMZ抗体価は20倍であった。プレドニゾロンは無効でDDS1日量75mg内服により丘疹は消退した。1M食塩水処理ヒト正常皮膚を基質としたIF間接法ではIgA抗体は皮膚の非分離部より分離部でより弱く沈着し, 標的抗原が食塩水処理により障害を受けることが示唆された。

著者関連情報
© 1996 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top