1996 年 58 巻 1 号 p. 29-31
63歳の男性。初診2年前に直腸癌にてMiles手術施行。初診半年前に三相性のRaynaud現象, 関節痛, 朝のこわばりが出現。初診時, 強指症, 躯幹にまで及ぶ近位皮膚硬化, 手指屈曲拘縮, 瀰漫性色素沈着, 舌小帯短縮を伴っていた。検査所見では, 血沈亢進, CPK軽度上昇, 抗nRNP抗体陽性。食道の弛緩拡張, 蠕動低下がみられたが, 肺線維症は認められなかった。前腕·胸部の病理組織像では, 真皮全層に及ぶ膠原線維束の膨化, 増生。プレドニゾロン20mg/day内服にて皮膚硬化, 関節痛の軽快, 検査所見の改善を認めた。経時的に超音波診断装置を用いて皮膚厚を測定し, 皮膚硬化の軽快に伴って皮膚厚が減少することが確認された。