西日本皮膚科
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症例
初診時組織診断に難渋し, 9年後の再生検により確定診断し得たEccrine Syringofibroadenoma
寺田 都子丹羽 緑子末木 博彦飯島 正文藤澤 龍一
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1996 年 58 巻 1 号 p. 58-60

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抄録

初診時74歳の女性。ステロイド外用に反応しない左踵部に生じた軽度の浸潤を触れる紅斑を主訴に来院。病理組織学的に表皮から連続性に細長い上皮索が不規則に吻合しながら真皮内に延長し網目様構造を呈していた。真皮乳頭層には毛細血管, 膠原線維の増生と組織球様細胞の浸潤が認められた。当時我々はeccrine syringofibroadenomaの疾患概念を知らなかったため組織診断に難渋した。非ステロイド系抗炎症剤の外用により経過を観察したところ紅斑は軽減したため, その後患者は来院しなかった。9年後の83歳時, 患者は前回とほぼ同様の皮疹を主訴に再び来院した。この間皮疹は軽快と増悪とを繰り返していたという。再生検の結果は9年前とほぼ同様の所見であったが, 今回は類似の症例を経験していたことから表皮内の汗管様構造に注目し, eccrine syringofibroadenomaと確定診断した。

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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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