西日本皮膚科
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研究
Bcl-2蛋白の皮膚腫瘍における発現
清川 千枝蜂須賀 裕志森 理森田 美保子笹井 陽一郎
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1996 年 58 巻 2 号 p. 281-283

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抄録

Bcl-2遺伝子は濾胞性リンパ腫に共通の14番と18番染色体との転座における18番染色体切断面から分離された遺伝子である。今回, このbcl-2遺伝子と表皮および上皮性腫瘍の分化との関連について免疫組織化学的に検索を行った。基底細胞上皮腫, 有棘細胞癌, 尋常性疣贅, 老人性疣贅, 母斑細胞性母斑のAMeX固定およびホルマリン固定標本を作成し, ホルマリン固定標本のみマイクロウェーブ処理を行った。正常皮膚では基底層にbcl-2が強く染色され, また脂漏性角化症, 尋常性疣贅でも基底層に陽性反応を認めた。基底細胞上皮腫では腫瘍巣内に瀰漫性にbcl-2蛋白を認めた。有棘細胞癌ではほとんどの腫瘍細胞は陰性であった。以上の結果よりbcl-2の発現は表皮細胞の分化に関与していると考えた。

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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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