西日本皮膚科
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岐阜県における全身性強皮症の記述疫学的研究
藤田 節也井奈波 良一岩田 弘敏牧野 茂徳吉田 英世
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1996 年 58 巻 4 号 p. 640-648

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抄録

岐阜県における全身性強皮症(以下PSSとする)患者の実態を明らかにすることを目的とし岐阜県における全身性強皮症認定患者の「特定疾患対象患者認定申請書」に基づく調査を行った。1986年度および1990年度の2ヵ年間に強皮症, 多発性筋炎·皮膚筋炎として認定を受けた患者の中からPSS患者の申請書を選別し, これをもとに記載事項を集計した。PSS患者は1986年度で男性13名, 女性89名, 計102名であり, 一方1990年度の患者数は男性18名, 女性179名, 計197名と4年後にはほぼ倍増していた。男女比はほぼ1:7∼10で女性に多く, 年代別では両年度および男女とも40歳代, 50歳代, 60歳代に多かった。国保加入者数をもとにした強皮症の受給者率は人口10万対で1986年度では4.9であったが1990年度では11.7と2倍以上であった。主要臨床所見においては1990年度では1986年度に比べて「色素異常」がみられた症例の割合が少なかったことが特徴的であった。初発症状は両年度とも「レイノー現象」が男女とも多くみられた。抗核抗体の陽性率については68.9∼83.3%が陽性で, 1990年度に陽性率が高かった。新規受給者を対象にした場合の特徴および申請に至るまでの状況としては発病から申請までに5年以上の年数を経ているものが少なくないこと, その原因として発病から診断までにかなりの時間がかかっていることなどが考えられた。

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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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