西日本皮膚科
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症例
Hidroacanthoma Simplex
—ケラチン発現の免疫組織化学的検討—
末永 裕美小川 夏樹大西 誉光渡辺 晋一
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1996 年 58 巻 5 号 p. 784-786

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抄録

75歳の男性。主訴は3年ほど前より徐々に増大する左膝蓋部の赤褐色調結節。病理組織学的に表皮内に限局する腫瘍胞巣が認められ, 胞巣内には管腔様構造を伴っていた。本症例に対し各種抗ケラチンモノクローナル抗体と抗インボルクリン抗体を用いて免疫組織化学染色を行いケラチン発現パターンを検討した。その結果大部分の腫瘍細胞は真皮内汗管の外側細胞と同様の染色態度を示し腫瘍巣内の管腔細胞は汗管の管腔細胞と染色性が一致していた。このことより本腫瘍は真皮内汗管の外側細胞への分化を示し, 一部は汗管の内側細胞へ分化し管腔形成したものと考えられた。

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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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