西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
塩酸エピナスチンの皮膚そう痒症および皮脂欠乏性皮膚炎に対する臨床的検討
米元 康蔵西山 茂夫勝岡 憲生川野 信子向井 秀樹荒井 亮種井 良二
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 58 巻 5 号 p. 896-904

詳細
抄録

老人性皮膚そう痒症を含む皮膚そう痒症および皮脂欠乏性皮膚炎を対象に塩酸エピナスチン錠(アレジオン錠®)を4週間投与し高齢者を中心にその有効性, 安全性, 有用性を臨床的に検討し次の成績を得た。皮膚そう痒症に対し「中等度改善」以上の改善度は23/31例(74.2%)であった。このうち65歳以上の老人性皮膚そう痒症では18/21例(85.7%)であった。安全度は「安全性に問題なし」と判断された症例は34/37例(91.9%), このうち65歳以上の老人性皮膚そう痒症では22/25例(88.0%)であった。「有用」以上の有用度は23/31例(74.2%)で, このうち65歳以上の老人性皮膚そう痒症では22/25例(88.0%)であった。また皮脂欠乏性皮膚炎に対し, 「中等度改善」以上の改善度は26/33例(78.8%)であった。安全度は「安全性に問題なし」と判断された症例は36/37例(97.3%)であった。「有用」以上の有用度は26/33例(78.8%)であった。また両疾患ともそう痒および掻破痕の程度は投与1週後で有意に軽減し本剤の優れた止痒効果が寄与したものと考えられた。副作用は4/74例(5.41%)で眠気の発現例は1例(1.35%)であった。合併症と発現した副作用との関連, および併用薬との相互作用は認められなかった。以上の結果より老人性皮膚そう痒症を含む皮膚そう痒症および皮脂欠乏性皮膚炎に対し本剤は有用な薬剤と考えられた。

著者関連情報
© 1996 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top