西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
Duhring疱疹状皮膚炎
—血中抗体の検索と基底膜構成蛋白の免疫組織学的検討—
高橋 さなみ山川 有子毛利 忍佐々木 哲雄中嶋 弘
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 58 巻 6 号 p. 957-960

詳細
抄録

87歳の男性。約1ヵ月の経過で躯幹·四肢にそう痒の強い皮疹が拡大し当科受診。皮疹はおもに躯幹後面に認められ, 浮腫性紅斑·丘疹が弧状に配列し全体として不整形の局面を呈しておりその局面上に小水疱·膿疱·糜爛·痂皮が存在した。また肩·前腕伸側·下腿前面にほぼ左右対称性に浮腫性紅斑とその局面上に小水疱·痂皮が認められた。病理組織学的には好中球性微小膿瘍と表皮下水疱が認められ, 螢光抗体直接法では真皮乳頭層部に細線維状, 一部顆粒状のIgAの沈着が認められDuhring疱疹状皮膚炎と診断された。治療はdiphenylsulfone(DDS)が著効した。HLAはB8, DR3, DQw2は陰性で, 血中の抗gliadin IgG抗体, 抗gliadin IgA抗体, 抗reticulin IgA抗体, 抗endomysium IgA抗体はすべて検出されなかった。免疫組織化学的に抗IV型コラーゲン·抗VIIコラーゲン抗体では水疱底のみ染色されたのに対して抗カリニン抗体では水疱蓋と底の両者が染色された。

著者関連情報
© 1996 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top