西日本皮膚科
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症例
ネルの寝巻のナフトールASによる色素沈着性接触皮膚炎
小辻 智恵星野 稔岩田 充大塚 藤男
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ジャーナル 認証あり

1997 年 59 巻 1 号 p. 3-6

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抄録

ネル製寝巻の染色に使用されたnaphthol-AS(以下N-AS)による色素沈着性接触皮膚炎の76歳の女性例を報告した。寝巻に残留したN-AS量(366μg/g)はこれまでの報告例の中では最低であった。患者が脳梗塞で寝たきりの状態になり寝巻の着用時間が長くなった点, 6年もの長期間にわたってネルの寝巻を使用した点がこのような低濃度のN-ASで感作の成立した原因と考えた。本症の報告は1990年に衣類の残留N-AS濃度が1000μg/g以下に自主規制されて以来減少しているが低濃度でも本例のように長時間の着用により発症する危険性があるので注意を要する。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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