抄録
局所の血流増加を目的として開発されたパルス放電刺激器をモルモットの背部皮膚にあて, 刺激前後の血流動態をレーザー·ドップラー血流計を用いて経時的に観察した。その結果, 血流増加は被験部位およびその周囲に限局し, 刺激を行った直後から30分間の測定時間中に持続的な血流増加が認められた。各測定値を詳細に検討したところ, まず最初は血管拡張を伴わずに血流速度のみの上昇が認められ, 次いで血流速度が減少し, それに対応するように血管拡張が認められた。また同時に観察を行った発赤, 腫脹, 熱感などの皮膚所見と血流変動を比較検討したところ, 血流増加と皮膚所見の間には明確な相関は認められず, 肉眼的に血管の拡張を示唆する発赤などが強く認められなくても血流は有意に増加していることがわかった。以上のことからパルス放電刺激器は局所の血流増加を目的とする理学療法に十分使用できるものと思われた。