西日本皮膚科
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症例
光線療法を施行された乾癬患者に発生した有棘細胞癌
上原 啓志神山 琢郎丸野 元美萩原 啓介當山 兼正高宮城 敦上里 博野中 薫雄
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1997 年 59 巻 3 号 p. 373-377

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抄録

49歳の男性。25年前に四肢に鱗屑を伴う紅斑が出現し次第に全身に拡大した。乾癬の診断で25年前より約1年半, 20年前より約3年半, PUVA療法·ゲッケルマン療法による治療を受けた。15年前に左大腿部に小腫瘤が出現したが, 放置していた。徐々に隆起してきたため, 12年前に切除された。病理組織学的に有棘細胞癌であった。2年前には右大腿部の有棘細胞癌を切除された。さらに今回, 腰部から臀部, 右大腿にかけての3個のボーエン病および左大腿部の有棘細胞癌を切除された。現在まで計6個の皮膚悪性腫瘍の出現が認められた。本症例はタール製剤の外用およびデルモパン照射も併用されており, 光線療法に加えて発癌因子の相乗作用が予想される。欧米の白人に比べて危険性は少ないが, 日本人においても光線療法による発癌の可能性はあり, その危険性をはっきりさせ光線療法の適応, 治療指針を決めていく必要があると思われた。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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