西日本皮膚科
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症例
インターフェロンαの局注療法が有用であった外陰部Paget病再発例
湊原 一哉樋口 哲也松永 剛丸山 隆児
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1997 年 59 巻 3 号 p. 382-384

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抄録

84歳の女性。7年前, 外陰部Paget病と診断され広範囲切除術を受けたが, 平成8年5月, 切除端肛門側に約35×20mmの浸潤を触れる暗紅色斑が出現した。生検の結果, Paget病の再発と診断し, インターフェロンαの局注を1回100×104IUから300×104IU隔日で開始し, 総量9500×104IUを投与した。約5000×104IUを投与後, 紅斑は消退傾向を示した。病理組織学的には真皮上層にリンパ球の密な帯状の浸潤を認め, 表皮内のPaget細胞は, ほぼ消失していた。また治療前の腫瘍組織片をbcl-2抗体を用いて酵素抗体法で染色したが, Paget細胞のほとんどはbcl-2を発現していなかった。以上よりインターフェロンαが有効であった機序として, リンパ球による腫瘍細胞の破壊が促進されたこと, また腫瘍細胞に対して効率的にアポトーシスが誘導されたことが考えられた。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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