西日本皮膚科
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治療
アトピー性皮膚炎に対するFK506(タクロリムス)軟膏の濃度設定に関する後期第II相試験(その2)
FK506軟膏研究会
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1997 年 59 巻 3 号 p. 427-435

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抄録

アトピー性皮膚炎に対するFK506(タクロリムス)軟膏の濃度設定を目的として, 躯幹·四肢での慢性型病変を対象にFK506軟膏2濃度(0.03%, 0.1%)および軟膏基剤による二重盲検群間比較試験(総症例数212例)を実施し, それらの3週間塗布での有効性および安全性を検討した。最終全般改善度の「中等度改善」以上の改善率は基剤群の49.2%に対し0.03%群, 0.1%群では, それぞれ71.6%, 91.9%と有意に高く, 0.1%群でとくに高率であった。安全性に関しては0.03%群, 0.1%群で, それぞれ35.7%, 36.2%に皮膚刺激感が認められ, 基剤群の9.9%に比べ有意に高い発現率であったが, それ以外の副作用は基剤群でのみ認められ, FK506軟膏群では認められなかった。以上より有効性, 安全性を考慮して慢性型病変に対しては0.1%が妥当と考えられた。先に実施した濃度設定試験では急性型病変に対しても0.1%の妥当性を示唆する成績が得られており, さらに全身塗布時の安全性を検討した試験では0.1%軟膏の安全性に問題のないことが確認されている。今回の成績と, これらの結果を総合するとFK506軟膏のアトピー性皮膚炎に対する臨床濃度は急性型病変, 慢性型病変に関りなく0.1%が妥当と考えられた。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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