西日本皮膚科
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横浜市大皮膚科に於ける乾癬治療の最近5年間の変遷
竹川 恵石井 則久田村 暢子松岡 有理子中嶋 弘
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1997 年 59 巻 4 号 p. 617-620

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抄録

横浜市立大学医学部附属病院皮膚科外来に通院中の乾癬患者136名(男性97名, 女性39名)につき, 最近5年間の治療の変遷につき検討した。年齢は男性が平均47.7歳, 女性が平均43.9歳であった。PASIスコアの平均値は男性が13.4, 女性が8.3であった。ビタミンD3(VitD3)軟膏の登場に伴い, 顔面では80%の症例で, 同軟膏の外用が主流となってきた。躯幹, 四肢ではステロイド外用剤の使用率の減少がみられた。しかし頭部に関しては5年間を通じてstrongクラスのステロイドローションの外用が主流であった。PASIスコアが10未満の症例では, スコア10以上の症例に比べステロイドの外用が減少し, それはVitD3軟膏の増加が主な要因であった。一方, PASIスコア20以上の症例においてシクロスポリン(CYC)の内服率が増加していた。また, 外用療法の効果は, 男女間で顕著な差は認められなかった。VitD3軟膏, CYCの登場により乾癬の治療法に幅ができ, 患者のQOLを考えた治療法の選択が可能になりつつあると考えられた。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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