西日本皮膚科
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症例
黒色表皮腫とLeser-Trélat徴候を伴った胃癌
田口 りか吉福 士郎福丸 聖太瀬戸山 充神崎 保米良 修二
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1997 年 59 巻 5 号 p. 709-712

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抄録

74歳の男の患者が全身のそう痒および四肢の疣贅状の皮疹を主訴に来院した。半年前から全身のそう痒と疣贅状皮疹の出現, 拡大, 増悪があり, 初診時, 顔面と後頚部, 腋窩に黒褐色の色素沈着を伴う乳頭状の皮膚を示し, 悪性黒色表皮腫と診断した。躯幹には, 多数の脂漏性角化症様皮疹があり手背, 下肢, 足背には大豆大までのそう痒を伴う疣贅状皮疹を認めた。全身検索を施行し, 病期分類Stage IVの胃癌が発見されLeser-Trélat徴候を伴った黒色表皮腫と診断した。皮疹およびそう痒は胃切除術施行後, 次第に軽減している。本症例は, 主に四肢に現れた疣贅状皮疹が脂漏性角化症か尋常性疣贅か診断が困難であった。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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