1997 年 59 巻 5 号 p. 731-733
培養ヒト皮膚線維芽細胞を用い, 胃潰瘍治療剤プラウノトール(ケルナック®)がコラーゲン合成にどのように影響を与えるか検討した。Confluentの状態に培養した線維芽細胞を0.15μM, 1.5μMのプラウノトールで処理し, 最後の24時間[2, 3-3H]プロリンで蛋白を標識し, コラーゲン合成活性を測定した。その結果, プラウノトールは単独で, 線維芽細胞のコラーゲン合成を約40%抑制した。一方, プラウノトールはプロスタグランジン発現促進作用を有することが知られているので, インドメタシンでこれを抑制しその影響を検討した。その結果, インドメタシン存在下では, インドメタシン非存在下と同様にプラウノトールのコラーゲン合成を約25%抑制した。このことはプラウノトールの潰瘍治癒促進作用が, 線維芽細胞に直接作用するためではなく, またプロスタグランジンも介さない別の作用機序によるものと考えられた。