59 巻 (1997) 6 号 p. 820-825
小児に生じたgeneralized morphea(GM)の2例を報告した。症例1: 6歳の女児。3歳半頃より背部, 臀部, 下肢, 顔面に多発する硬化性萎縮局面を認め, 次第に左下肢の萎縮が著明となり下肢長や周径に左右差を生じてきた。左大腿伸側の皮疹は病理組織学的に真皮から皮下組織におよぶ膠原線維の膨化, 増生を認め, 血清学的にも抗核抗体, リウマトイド因子陽性, 抗1本鎖(ss)DNA抗体価高値を示し, GMと診断した。急速な拡大, 機能障害, 成長障害の可能性が予測されることよりステロイドの全身投与を開始し, 現在の所, 症状は軽快している。症例2; 6歳の男児。2歳頃より被髪頭部に3ヵ所脱毛斑があり, 左上眼瞼からこめかみにかけても褐色の萎縮硬化局面が生じてきた。血清学的には, 抗核抗体, 抗ssDNA抗体陰性。頭頚部のみであるが, 斑状硬化局面が5個認められることよりGMと診断し, 進行が緩やかで機能障害の可能性も低いためステロイド外用剤のみで経過観察中である。限局性強皮症は小児から若年者に好発し, 一般には数年でself-limitedな経過をとるといわれるが, しばしば四肢の成長障害や関節拘縮を伴うことも多く, また小児ということもあり, 有効とされるステロイドの全身投与も躊躇する傾向にあるが, 自験例は抗ssDNA抗体価の測定が治療開始にあたり有用であった。