西日本皮膚科
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症例
治療開始後早期にI型らい反応が出現したらい腫型ハンセン病
—治療経過と瘢痕性皮疹について—
並里 まさ子角田 美英藤田 祐介小原 安喜子小川 秀興
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1997 年 59 巻 6 号 p. 847-854

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抄録

初診時, 著明ならい腫性浸潤巣に多数の桿状抗酸菌を認め, ハンセン病と診断された35歳の男性例を報告する。初診後minocycline(MINO)を1週間投与され, その後WHOのmultidrug therapy(MDT)を開始した。治療開始後早期に, 発熱, リンパ節腫脹を伴う浸潤性皮疹が出現した。この反応はthalidomide(CG)には直ちに反応せず, prednisolone(PSL)の投与で軽快し, 臨床, 病理組織所見よりI型らい反応(リバーサル反応, R反応)が主体と考えられた。初診時所見より病型をLLsとした。初診後6ヵ月以降には臨床的炎症所見はほとんど認められず, 浸潤は著明に改善した。初診時より認められた四肢に散在する瘢痕性皮疹について経時的病理組織変化を観察するとともに, その成立機序について考察した。その結果, これらの瘢痕はらい腫性肉芽腫が経表皮排泄(transepidermal elimination)された部位である可能性が考えられた。治療経過中, 抗phenolic glycolipid-I(PGL-I)抗体および抗lipoarabinomannan-B(LAM-B)抗体を測定した結果, 早期より著明な低下がみられた。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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