西日本皮膚科
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研究
痒疹型アトピー性皮膚炎
西本 正賢沼原 利彦中嶋 邦之吉田 智子
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1997 年 59 巻 6 号 p. 855-858

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抄録

2年間のアトピー性皮膚炎患者324名のうち痒疹型40名について, 結節性痒疹に似る結節型と掻破痕·丘疹·小結節が混在した状態を示す掻破型にわけて背景因子, 検査所見, 治療および経過について検討した。掻破型は42歳の1例を除き2歳から30歳までに分布し男女各13名の計26名。結節型は10歳未満の2例を除き17歳以上で14名中男性が10名。結節型は成人に特有の臨床型といえる。年齢, 気道アトピーの合併率, 0歳発症率, 好酸球増多, 総IgE値, Df-E抗体, Df-G4抗体, Df-scratchの陽性率も結節型が高い。結節型では4名が入院し, 10名に光線療法を, 7名に凍結療法を行い, 掻破型の入院は1名で, 光線療法, 凍結療法を行った患者は少ない。92年末に皮疹がコントロールされているのは結節型で43%, 掻破型で77%。痒疹型は他の臨床型以上にそう痒の抑制が重要で, 治療抵抗性の結節型に移行する前の掻破型の段階でそう痒をいかにコントロールするかにかかっている。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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