西日本皮膚科
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研究
薬疹患者における薬剤刺激による末梢血リンパ球のインターフェロンγ産生の検討
—原因薬剤同定法としての可能性について—
野中 由紀子古賀 哲也利谷 昭治
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ジャーナル 認証あり

1997 年 59 巻 6 号 p. 859-863

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抄録

臨床的に明らかに薬疹が確診される患者に対して原因薬剤を追求するために原因薬剤含有白色ワセリンを用いてパッチテスト(閉鎖法)を行い, パッチテスト陰性の症例16例, あるいは何らかの理由によりパッチテストが施行できなかった症例4例, 合計20症例の原因薬剤未確定患者を対象とし, 原因薬剤検索のin vitro検査法として薬剤刺激によるリンパ球のIFN-γ産生の測定を行い, その陽性率を薬剤刺激リンパ球幼若化試験(DLST)と比較検討した。20症例の薬疹患者末梢血リンパ球を原因薬剤を添加して培養し, 培養上清中のIFN-γ活性を測定し, 薬剤無添加状態で患者末梢血リンパ球を培養した培養上清中のIFN-γ活性と比較し, 刺激比180%以上を陽性とした。薬剤刺激によるIFN-γ産生は20症例中9例で陽性(陽性率45%)を示し, 一方, DLSTは19症例中4例で陽性(陽性率21%)を示した。症例数が少ないため両者間の陽性率に統計学的な有意差はなかったが, このようにIFN-γ産生試験ではDLSTと同等以上の陽性率が得られ, パッチテスト陰性あるいは未実施, すなわち原因薬剤未確定薬疹患者においても次のステップの原因薬剤確定のin vitro検査法のひとつになりうる可能性が示唆された。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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