西日本皮膚科
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治療
乾癬寛解例に対するシクロスポリン維持療法の検討
高橋 英俊伊部 昌樹木ノ内 基史橋本 喜夫飯塚 一深見 洋一水元 俊裕山内 利浩岸山 和敬
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1997 年 59 巻 6 号 p. 883-888

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抄録

重症乾癬におけるシクロスポリン(CYA)療法は, 現在では3∼5mg/kg/日の低用量を使用することが一般的となっている。今回, より低用量のCYAでの寛解維持の可能性を検討した。乾癬患者をCYA 4∼5mg/kg/日の投与で寛解に導いた後, 維持療法としてA群(CYA 3mg/kg/日 1日2回投与群)とB群(CYA 2mg/kg/日 1日1回投与群)に分け, 12週間継続投与し臨床的有用性を検討した。寛解導入療法に組み入れられた33例(平均PASIスコア19.6±8.5)中, 寛解維持療法に移行した症例は29例, 87.9%(平均PASIスコア1.6±1.2)で, うちA群17例, B群12例であった。維持療法終了時の全般改善度は, A群で改善もしくは寛解継続が76.5%, B群で75%といずれの群も良好であった。PASIスコアは維持療法開始時, A群1.39±0.20, B群1.88±0.43, 維持療法終了時, A群2.78±0.63, B群5.03±1.56で, 両群間に有意差は認められなかった。副作用は, A群4例(23.5%), B群3例(25.0%)に認められ, BUN上昇, 全身倦怠感, 高血圧が主なものであった。有用度はA群82.4%, B群75.0%が有用以上の有用度を示した。以上の結果から乾癬寛解例の維持にはCYA 2mg/kg/日でも十分可能であることが示された。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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