1998 年 60 巻 1 号 p. 19-22
51歳の男性。初診の1年前, 右側頚部の, 3ヵ月前には左耳後部の常色丘疹に気づいた。次第に環状に増大し, 増数した。病理組織学的にはannular elastolytic giant cell granuloma (AEGCG)の特徴を有する肉芽腫性病変が認められた。すなわち肉芽腫性病変部の弾力線維は欠如し, 多核巨細胞の胞体内に断片化した弾力線維の貪食像が認められたが, 膠原線維の変性, 類壊死像はあきらかでなくムチンの沈着も認められなかった。生検1週間後, 皮疹は消退傾向を示したが新生があった。空腹時血糖111mg/dl, HbA1c5.3%, 経口糖負荷試験で耐糖能異常があった。以上の所見よりAEGCGよりも環状肉芽腫と考えた方がよいと思われた。