西日本皮膚科
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治療
アクトシン®軟膏の褥瘡, 皮膚潰瘍に対する臨床的有用性の検討
松村 都江海老原 全中山 秀夫
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1998 年 60 巻 1 号 p. 79-87

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抄録

アクトシン®軟膏はジブチリルサイクリックAMP(DBcAMP, 一般名ブクラデシン)をマクロゴール中に3%含有する水溶性軟膏である。局所血流改善作用を有し, 線維芽細胞, 血管内皮細胞, ケラチノサイト増殖および血管新生を直接賦活化して, 肉芽形成および表皮形成を促進する褥瘡, 皮膚潰瘍治療剤として1993年4月に発売され, 広く皮膚潰瘍治療に使用されている。今回, 市販後の臨床効果について褥瘡, 皮膚潰瘍におけるその有効性, 安全性を調査した。調査対象は褥瘡, 難治性皮膚潰瘍43例で, 総合効果判定において改善以上が81.4%で, 有用度においては有用以上は79.1%であり良好な結果が得られた。本薬剤と因果関係があると考えられる副作用はなかった。不変例は3例で, いずれも難治化因子をもつ患者であった。以上よりアクトシン®軟膏は褥瘡, 皮膚潰瘍の治療において有用性の高い薬剤と考えられた。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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