抄録
急速に進行する間質性肺炎を合併した皮膚筋炎の1例を経験した。患者は52歳女性。初診の約3週間前から両手, 肘, 膝, 足背に紅斑が出現した。関節痛, 咽頭痛, 発熱を伴っていたが, 筋肉痛, 脱力など筋炎症状は認められず, CPKも正常範囲であった。発症約2ヵ月後には両側肺野に間質性肺炎が認められた。急速に呼吸不全に陥ったため機械的人工呼吸, ステロイドパルス療法などを施行したが反応せず死亡した。剖検の結果, 両側の間質性肺炎に加え子宮体部の癌が認められた。皮膚筋炎における肺病変は生命予後を左右する重要な合併症であるが, とくに自験例のような急速進行間質性肺炎を合併する場合, 筋炎症状の明らかでない特異な臨床像を呈し, 有効な治療法も確定せず急速に悪化することから本疾患の早期診断のため新たな診断基準の必要性を感じた。