西日本皮膚科
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症例
原発性胆汁性肝硬変患者に生じた口腔扁平苔癬
小辻 智恵飯島 茂子大塚 藤男
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1998 年 60 巻 3 号 p. 314-317

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抄録

原発性胆汁性肝硬変(PBC)のためにウルソデオキシコール酸内服中の57歳女性。口腔粘膜に白色線状局面·水疱·糜欄が認められ, 病理組織学的に扁平苔癬(LP)と診断した。LP患者にC型慢性肝炎などの肝障害の合併頻度が高いことはよく知られているが, PBCとの合併例の報告は自験例を含め14例といまだ少数である。これらの報告例を検討したところ, 年齢は32歳から80歳(平均50.4歳)と中高年に多く, 全例女性であった。口腔粘膜疹が13例(92.9%)と高頻度にみられた。PBC罹患後にLPが発症している例が11例と多かった。D-penicillamine投与中にLPが発症した例は7例であった。PBCとLPはともにchronic GVHDのearly lichenoid stageと病理学的に類似しており, 両者が病因論的に共通している可能性が考えられた。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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