西日本皮膚科
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症例
全身性強皮症とシェーグレン症候群の合併例に生じた悪性血管内皮細胞腫
松倉 節子水野 尚岡澤 ひろみ早川 広樹佐々木 哲雄長谷 哲男中嶋 弘上條 聖子塩谷 千賀子
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1998 年 60 巻 3 号 p. 335-339

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抄録

症例は91歳の女性。40歳台からレイノー症状や, 手指の皮膚硬化が出現した。また, 以前より口腔内乾燥感を自覚することが時々あった。初診10ヵ月前から頭頂部右側に紫紅色の腫瘤が出現し, 徐々に腫大してきた。初診2ヵ月前には右耳介後部にまで腫大していた。生検により悪性血管内皮細胞腫と診断した。胸部CTで胸水, 心嚢水の貯留が認められ, 胸膜への転移も疑われた。病理組織学的には真皮全層に紡錘形の異型細胞が増殖しており, 管腔形成も認められた。管腔内には赤血球が認められ, 腫瘍細胞の第VIII因子関連抗原は弱陽性, CD34は陽性であった。レイノー症状と手指の皮膚硬化, 末梢血液検査で抗セントロメア抗体陽性, 抗SS-A抗体陽性であることから全身性強皮症, シェーグレン症候群を合併していることが考えられた。入院後, IL-2の静注療法をおこなったが無効であり, 初診130日目に永眠した。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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