西日本皮膚科
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症例
アトピー性皮膚炎様皮疹を呈した木村病
松村 文子古賀 哲也利谷 昭治
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1998 年 60 巻 5 号 p. 648-652

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抄録

43歳の男性。1991年10月に左耳前部に自覚症状のない小指頭大の皮下腫瘤が認められ, この時点での病理組織像では好酸球浸潤を伴うリンパ濾胞様構造は明らかではなかった。摘出後一部残存していたが放置した。1994年から全身に痒性皮疹が出現し, 近医皮膚科でアトピー性皮膚炎と診断され, ステロイド外用剤および内服剤で治療されたが難治であった。1995年5月から左耳前部の皮下腫瘤残存部位が徐々に増大し, 半年後その下方にも皮下腫瘤が出現したため1997年6月再摘出術を施行し, 病理組織学的に好酸球の浸潤を伴う濾胞形成が明らかで, 末梢血好酸球増多, 血清IgE高値から木村病と診断した。術前, 全身にみられたアトピー性皮膚炎様皮疹術後には徐々に改善し, 末梢血好酸球や血清IgEも術後徐々に低下した。本症例にみられたアトピー性皮膚炎様皮疹は木村病に伴うものと考えた。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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