西日本皮膚科
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治療
シクロスポリンMEPCの乾癬に対する有効性および安全性に関する検討(第1報)
原田 昭太郎五十嵐 敦之北原 比呂人中川 秀己大槻 マミ太郎朝比奈 昭彦佐伯 秀久小宮根 真弓玉置 邦彦小澤 明菅井 順一大城戸 宗男
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1998 年 60 巻 6 号 p. 832-841

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抄録

シクロスポリンの新しい剤型として開発されたシクロスポリンMEPC(micro-emulsion pre-concentrate, 以下MEPCと略す)について, 乾癬に対する臨床効果, 副作用などを検討し, その臨床的有用性を報告した。MEPCは, 内服後マイクロエマルジョン化されるよう設計された新しい経口製剤である。シクロスポリン療法の既往のない乾癬20例に対する治療(有効性解析対象16例)では, PASIスコアが治療開始2週間後には有意に減少(51.3%), 12週間後には90.4%(p<0.001)まで減少した。また, そう痒についても12週間の治療で明らかな改善を示した。全般改善度は, 解析対象16例の全例が著明改善と判定された。副作用は8例(高血圧·血圧上昇4例, 消化器症状3例, 帯状疱疹1例)に認められた。また, 臨床検査値異常変動では, 7例(BUN値上昇3例, ALP値上昇2例など)でMEPCによる影響が認められた。なお, それら副作用, 臨床検査値異常変動は, 帯状疱疹発症により内服を中止した1例を除き, いずれもMEPCの減量または対症療法により, 回復もしくはコントロールできた。その結果, 対象の95%の症例は, 安全またはほぼ安全に使用可能と評価された。以上の結果から, MEPCは現行のシクロスポリン製剤と同様, 乾癬治療において優れた臨床的有用性が認められた。さらに, その薬剤特性からも, 現行製剤で問題となっていた薬物動態の改善が期待でき, より高い効果と安全性が期待できる可能性が高いと考えられた。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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