西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
著明な腹部症状に対して第XIII因子を投与したSchönlein-Henoch Purpura
岡部 勉篠田 勧山田 悟山本 昇壯城戸 聡一郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

1999 年 61 巻 1 号 p. 11-14

詳細
抄録

23歳の男性。感冒様症状に続発して関節痛, 腹痛を伴う半米粒大の紫斑が四肢に出現した。末梢血, プロトロンビン時間, 部分トロンボプラスチン時間に異常なく第XIII因子活性は低下していた。病理組織学的にはleukocytoclastic vasculitisの像を呈しており, Schönlein-Henoch purpuraと診断した。広範な胃, 十二指腸潰瘍も認められたためアドレノクロム, トラネキサム酸等に加えオメプラゾールを併用した。プレドニゾロン(30mg/day)内服による治療にても腹部症状の明らかな改善はみられず, 腸管エコーにて上部小腸に広範囲に強い炎症所見が認められ, また第XIII因子活性の著明な低下も認められたため, 中心静脈栄養の施行とともに第XIII因子1200単位の投与を開始した。投与開始翌日には腹部症状は劇的に改善した。著明な腹部症状を伴う成人のSchönlein-Henoch purpuraに対して, 第XIII因子の投与は試みる価値のある治療法と思われた。

著者関連情報
© 1999 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top