西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
研究
アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬の使用状況
—多施設調査における解析—
古江 増隆力久 航山本 昇壯
著者情報
ジャーナル 認証あり

1999 年 61 巻 2 号 p. 196-203

詳細
抄録

アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬の使用状況を検討するために, 10施設においてアンケート調査を行った。6ヵ月以上臨床経過を観察し得た患者548例の初診時の視診によるグローバルな重症度, アンケート時の視診によるグローバルな重症度, 頬部の血管拡張, 肘窩の皮膚萎縮, 膝窩の皮膚萎縮, アンケート前6ヵ月間の顔面, 頭部, 顔面·頭部以外の部位へのステロイド外用量を記入することとした。2歳未満の患者は22例であり, 患者の80%以上が顔面へは20g未満/6ヵ月, 顔面·頭部以外の部位へは90g未満/6ヵ月を外用していた。今回のアンケートでは頭部にステロイドを外用していた症例はなかった。2歳以上13歳未満の患者は74例であり, 患者の80%以上が顔面および頭部へはそれぞれ30g未満/6ヵ月, 顔面·頭部以外の部位へは180g未満/6ヵ月の外用量であった。13歳以上の患者は452例であり, 患者の80%以上が, 顔面へは60g未満/6ヵ月, 頭部へは120g未満/6ヵ月, 顔面·頭部以外の部位へは300g未満/6ヵ月の外用量であった。13歳以上の患者で顔面への外用量が60g未満の群は60g以上の群に比べ, また頭部への外用量が120g未満の群は120g以上の群に比べ, 頬部の血管拡張が有意に少なかった。また顔面·頭部以外の部位への外用量が300g未満の群と300g以上の群の間に肘窩や膝窩の皮膚萎縮の発現頻度に有意差は認められなかった。一方, 最重症や重症の患者では強いランクのステロイド外用薬が使用される傾向が明らかであり, 13歳以上の顔面への外用は最重症では70.5%がstrong以上を外用しているのに対し, 中等症·軽症では90%はmedium以下を外用していた。

著者関連情報
© 1999 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top