西日本皮膚科
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症例
Angiosarcoma treated with IL-2
小西 さわ子力久 航山元 修廣川 久忠旭 正一
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1999 年 61 巻 3 号 p. 319-322

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抄録

IL-2動注療法によって寛解に至った80歳の女性のangiosarcomaの1例を報告した。1996年6月より前頭部右側に紅斑及び半米粒大の小結節が出現した。同部への打撲の既往があった。病理組織学的に楕円形及び紡錐形の腫瘍細胞から成る充実性胞巣と乳頭状増殖を伴う管腔様構造が認められ, 免疫組織化学的にCD 31陽性であったためangiosarcomaと診断した。当科第1回目入院時は, interleukin-2(IL-2)を1日量80万国内標準単位にて50日間持続動注し, その後60日間連日ワンショットで動注し, あわせて電子線6MeVを計5800cGy照射した。第2回目入院時は, 30日間のIL-2ワンショット動注単独療法にて治療し, その結果臨床的, 病理組織学的に改善がみられた。免疫組織化学的検索にてキラーT細胞と思われるCD 8陽性細胞とMAC 387陽性マクロファージの増加およびそれに伴う異型細胞の減少を認め, IL-2の効果によるものと思われた。その後再発抑制のため, 3回目の入院にて, 30日間IL-2のワンショット動注単独療法を行い, 初診より1年10ヵ月が経過した現在, 局所再発, 遠隔転移を認めていない。臨床的, 病理組織学的改善に伴いサーモグラフィー所見にも改善が認められた。

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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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