西日本皮膚科
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症例
肺高血圧症を合併した混合性結合組織病
前川 和代浜田 祐子丸野 元美野中 薫雄長嶺 文雄高須 信行
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1999 年 61 巻 4 号 p. 438-442

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抄録

症例は35歳の女性。両手指の循環障害およびRaynaud現象を主訴に来院した。血液検査で, 抗RNP抗体陽性, 白血球減少, 血小板減少などを認め, 混合性結合組織病(以下MCTD)と診断した。さらに胸部単純X線検査にて心胸郭比(cardio-thoracic ratio, 以下CTR)が63%と拡大し, 心エコー上肺動脈圧が57.3mmHg(正常値17∼32mmHg)であったことから肺高血圧症を伴っていることが判明した。また, 明らかに肺高血圧症の原因と思われる基礎疾患はMCTD以外認められなかった。肺高血圧症の治療法は対症療法が中心であり, 突然死もありうる予後の悪い疾患である。肺高血圧症を伴ったMCTDの場合, 肺高血圧症が診断されてから死亡までの平均生存期間は4.2年といわれ, さらにMCTDの死因の第1位は肺高血圧症である。MCTDはその性格上皮膚科を初診しfollowされる症例もあり, 生命予後に関わる合併症の存在を知ることは, 我々皮膚科医にとっても非常に重要であると思われた。

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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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