西日本皮膚科
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症例
Mycobacterium marinumによる皮膚非定型抗酸菌症の1例
黒木 りえ浦 弘志桐生 美麿古江 増隆
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1999 年 61 巻 4 号 p. 496-498

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抄録

熱帯魚飼育を趣味とする47歳の男性。1997年12月初旬に左第5指爪囲に切創を生じ, その後創周囲が発赤, 腫脹。抗生剤内服で加療されたが, 左手背から前腕にかけて圧痛を伴う結節が多発してきたため, 1998年1月5日当科初診。左前腕の結節の生検組織では, 真皮から皮下脂肪組織にかけて膿瘍形成と主に類上皮細胞とリンパ球より成る肉芽腫性病変を認めた。組織のPAS染色, Ziehl-Neelsen染色ではともに菌要素を認めなかった。膿および組織片を28℃で2週間培養した2%変法小川培地に黄白色のS型集落形成。分離菌に対するDNA-DNA hybridization法や抗酸菌鑑別の各試験の結果より原因菌をMycobacterium marinumと同定。薬剤感受性試験ではスパルフロキサシンに強い感受性を示した。ミノサイタリン200mg/dayの9週間内服とスパルフロキサシン200mg/dayの5週間内服後, 多発性結節は縮小し, 萎縮性瘢痕を認めるのみとなった。

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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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