西日本皮膚科
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症例
第2期顕症梅毒の1例
—第2潜伏期を欠いた症例—
高橋 博之斎藤 和哉後藤田 裕子村岡 俊二佐藤 利宏伝法 玲子
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1999 年 61 巻 5 号 p. 623-625

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抄録

42歳の男性。初診の1ヵ月前に包皮の紅斑に気づく。その後, 同病変が徐々に大きくなり, 2個の独立した硬結を形成した。又, 同時期に両鼠径リンパ節腫脹も認め近医外科にて病理検査するも非特異的所見であった。血液学的検査ならびに皮膚生検にて梅毒と診断したが, 臨床的には第1期疹(初期硬結, 領域リンパ節炎)と第2期疹(バラ疹)が混在したため第2潜伏期を欠く第2期梅毒と診断した。治療は合成ペニシリン製剤を投与し略治となったが, 問診からは感染源ならびに時期については明らかにできず, 又, 配偶者の感染の有無についても検索できなかった。近年, 非定型例や多彩な臨床症状を伴った梅毒の報告が増えており, 疑診例に対しては積極的な病理学的および血液学的検索が必要と思われる。

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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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