症例は42歳の男性。初診時,全身の広範囲に鱗屑の付着を認めるTrichophyton rubrumによる体部白癬を呈し,右大腿内側に鶏卵大の腫瘤を認めた。皮疹部の病理組織学的所見と抗HTLV-I抗体高値,proviral DNAのmonoclonalな増殖とあわせて皮膚腫瘤型の成人T細胞白血病(ATL)と診断した。一方,早老性外貌,皮膚の萎縮,硬化,線維芽細胞の継代培養の低下よりWerner症候群を合併していた。抗真菌剤の外用,内服にて体部白癬は治癒したが,ATLについては, CHOP少量療法のLSG-4のプロトコールとPUVA療法を併用し1年9ヵ月の生存期間を得た。Werner症候群とATLとの合併は極めて稀と考えられた。