西日本皮膚科
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治療
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン軟膏(BBP:アンテベート®軟膏)およびBBPと10%サリチル酸ワセリン配合製剤の尋常性乾癬に対する有用性の検討
大久保 ゆかり小宅 慎一竹尾 千景入澤 亮吉大井 綱郎古賀 道之
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2000 年 62 巻 2 号 p. 235-244

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抄録

尋常性乾癬の患者を対象として,very strongのステロイド外用剤,0.05%酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(アンテベート®軟膏)および本剤に10%サリチル酸ワセリンを等量で混合した製剤を12週間投与しその有用性を検討した。対象は36例で,患者のpsoriasis area and severity index(PASI)スコア平均は17.5±11.3(SD)の主として中等症以上の症例である。最終全般改善率は,アンテベート®軟膏群(15例)で,改善以上53.3%,やや改善以上86.7%,またアンテベート®軟膏+10%サリチル酸ワセリン群(13例)では,改善以上30.8%,やや改善以上76.9%で,両群ともに尋常性乾癬に対し優れた臨床効果が認められた。PASIスコアの算出方法に準じた重症度スコアは両薬剤群ともに有意な減少を認め,その変化率は両薬剤群に有意差を認めなかった。副作用は両薬剤群で各1例認められ,毛嚢炎および毛細血管拡張,皮膚萎縮であったが,いずれもステロイド外用剤として既知の副作用であった。以上よりアンテベート®軟膏は,尋常性乾癬に有用な薬剤であり,また本剤にサリチル酸ワセリンを混合した製剤も,同等の有効性を示し,より広範囲の病巣を有する場合には適用しやすいものと思われた。

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© 2000 日本皮膚科学会西部支部
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