西日本皮膚科
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症例
UVA領域に作用波長をもつ日光蕁麻疹の1例
河合 幹雄秀 道広岡部 勉高路 修山本 昇壯高橋 博之
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2000 年 62 巻 3 号 p. 298-301

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抄録

25歳,女性。初診の3年前より,10分くらい日光に当たると,頚部,上胸部,上腕に紅斑,膨疹が出現し,約1時間で消退する。皮疹は日光照射中でも出現し,色ガラスフィルターを用いた光線テストでは,作用波長は320~390 nmおよび390~480 nmの範囲に存在すると判定されたが,モノクロメーターでは,340~400 nmの範囲で紅斑が誘導され,360~370 nmにかけて最も強い反応が認められた。照射部位を還流した静脈血血漿ヒスタミン濃度が一過性に上昇したこと,エバスチンの内服が皮疹の抑制に効果的であったことから,自験例における膨疹出現にはマスト細胞の脱顆粒を伴うことが示唆された。しかし,被働転嫁試験,逆被働転嫁試験は成立せず,UVA照射した血清による自己血清皮内テストは陰性であり,特異的IgEの関与は否定的であった。また,エバスチン内服と併行して,連日のUVA照射を行い,トレランスの誘導が可能であった。

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© 2000 日本皮膚科学会西部支部
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