西日本皮膚科
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症例
口蓋扁桃摘出により治癒した皮膚アレルギー性血管炎の1例
木下 恵美清水 隆弘石田 敏子武藤 正彦
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2000 年 62 巻 4 号 p. 444-447

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抄録

53歳,女性。初診の約1ヵ月前に咽頭痛,発熱などの感冒様症状出現。同時に両下腿に米粒大の紫紅色皮疹が生じ,初診前日より体幹にまで拡大したため,当科受診。既往歴では20歳代より扁桃炎あり。初診時に両下肢および体幹に浸潤を伴う紅斑ないし紫斑がみられ,両側口蓋扁桃は発赤腫脹を呈していた。ASOは348.6U/mlと高値を示し,咽頭培養では溶連菌を検出した。病理組織学的に真皮から脂肪織にかけてのleukocytoclastic vasculitisの像を呈していた。扁桃マッサージ誘発試験により紫斑の新生がみられたため,扁桃炎による皮膚アレルギー性血管炎と考え,両側口蓋扁桃摘出術を施行。術後皮疹の新生をみず,10ヵ月経過した。自験例では,血清IgA値が高値であったこと,免疫蛍光抗体直接法で血管壁へのIgA沈着を認めたこと,扁桃摘出後皮疹は消退したことから,溶連菌に対する特異的IgA抗体が血管内皮細胞と交叉反応することにより,血管炎を引き起こしたと考えた。

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© 2000 日本皮膚科学会西部支部
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