2000 年 62 巻 4 号 p. 480-484
75歳の男性。1996年8月頃よりほぼ全身に皮疹が出現。1997年6月よりプレドニゾロン内服にて一旦軽快したが減量時に皮疹が増悪し9月に当科入院。抗HTLV-1抗体陰性。皮疹はほぼ全身の浸潤性紅斑性局面と顔面に結節腫瘤を認めPUVA療法にて一時軽快傾向にあったが,3ヵ月後再び増悪し,多数の潰瘍形成を伴った。CHOP療法等で加療したが,敗血症にて死亡。背部の紅斑性局面からの病理組織像では強い苔癬型反応の像が得られた。陰嚢のびらんを伴う小腫瘤からは有棘細胞癌と鑑別し難い組織像が得られ,真皮には異型リンパ球が多数見られた。この変化は化学療法後に消退したため異型リンパ球による表皮の二次的変化と考えた。